もう観念した

ずっと買い替えてないものには寿命が来る。
とりわけ、僕はふだん使わないものは買い替える発想すらないまま生きている。
その一つがフォーマルな革靴。基本めったに履かない。というか、ほとんど履かない。唯一持っていた黒い革靴は実家で法事の時に靴底の一部が剥がれてしまった。何度かアロンアルファで直しながら使っていたが、もうダメだろうと思っていた。

今日、娘の七五三に出向くにあたり、その靴底ナシ革靴すら実家に忘れてしまったことに気付いた。さすがにスニーカーで行くわけにはいかない。
靴箱を漁ると、17年前、大学の入学式に履いた革靴が秘宝のようにして見つかった。「お、お前……まだ生きていたのか」。まるで帰還兵。そこにはまばゆさがあった。
強引に履いてみると、まだ足が入る。贅沢なことは言ってられない。自分が全部悪い。選択肢はコレしかなかった。
そんな革靴を履いて七五三を無事に終えて、革靴を脱いだ。
靴下の裏に革靴内部の革素材がメリメリと剥がれてくっ付いている。見たこともない光景だった。

こりゃあ、ダメだあ。。

本当に観念した。俺は何をしているんだという苛立ちすらあった。新しく革靴を買おうと思う。
携帯電話然り、観念のタイミングってのは急にやってくる。騙し騙しにも限界が来る。