36歳のロックンロール

大学生の頃、どうしてあんなにもロックという言葉に侵されていたのか。読むもの、触れるもの、友人らとの会話に頻発した、ロックという姿勢。あれがなんだったのか明快な答えが出ないまま未確認飛行物体(UFO)やツチノコみたいに期待と希望を傘に、燦燦と君臨し続けた概念。今思えば、ほとんど熱病だ。東京に出て来て、自分を奮い立たせなければならないと何かに追われていたような気もするし、怖いものが今より少なかったのかもしれない。大学2年生の時、初めての海外一人旅の旅先にインドを選んだのも自分の意思よりも何かに追われるようにして決めた所が大いにあった。「いやいや、フルタくん、インドくらい行かないとダメだよ」そんなプレッシャーだ。誰に言われたわけでもなく、自分の中で勝手にリフレインしていた。案の定というか、真夜中のデリーで拉致されてカシミールという紛争地域へ連れて行かれそうになったが、それはもう終わった話だ。インド人を憎んでない。けど、もしあのまま戦場で死んでいたら、俺はロックで良かったと言えたのか。いや、いいわけがない!断じていいわけがない!ロックの馬鹿野郎だ。

うだうだと書いている。月曜という一週間のスタートを気持ちよく切りたいと思った矢先、雨かよ。ちくしょう。犬の散歩も途中で折り返して来たわ。

それはそうと、最近は演劇のことばかりやっている。
目下の「ひとりごとターミナル2017」(9月20日〜24日@下北沢楽園)の稽古。この作品独特のルールみたいなものを役者の皆さんに伝え少しづつ形になってきた。来週から、もう一つの「白と黒の同窓会」(10月12日〜15日@新宿村LIVE)の稽古も始まるので準備している。来年のとある舞台の台本を書いている。やっと見えて来たのでこのまま一気に書いてしまいたいと思っているのが、今。〆切を待たせているので少し焦っている。今日、ロック云々のことを書こうと思ったのは、こういった演劇のことと無関係ではないからだ。

夏の盛り、ふと伊久磨さん、清水さんと取り組んだ二人芝居「虎の館」をもう一度動かそうと思い立った。思い立った瞬間から、どうにも落ち着かなくなった。新しいアイデアと方向性、具体的な公演のこと、色々と湧いて来た。それで思い出したのだ、あの急き立てて来る、くそロックを。くそロックにスケジュールなんていう大人の都合は通用しない。まずは二人と会わなければと思った。そして、昨日会った。