長い帰省はいつか終わる

長い帰省が終わり、東京に戻って来た。8月4日から今日まで11日間いたことになる。上京してから一番長い帰省だったかもしれない。かつて経験した夏を、もう一度なぞるような瞬間が何度もあった。傍らには娘がいた。僕にとっては何度目かの風景も娘にとっては初めてだった。数日前、中学の同級生と昼飯を食った後、その近くにある旧美濃駅へ立ち寄った。僕が高校生の頃まで美濃町線というチンチン電車が走っていた。そう言えば、もっとさかのぼり小学生、いや保育園に行ってた頃、亡くなった祖母がその電車に僕と弟を乗せて隣町の関まで連れて行ってくれたことが何度かあった。あれをよく憶えている。ねだったんだ。連れて行って欲しいと。電車に乗りたくて仕方なかった。窓からの風景、関に到着して薄暗い駄菓子屋へ行ったことや、祖母の行きつけらしき喫茶店でジュースを飲んだことを思い出した。あの電車は廃線になってしまい、祖母も亡くなった。時間の流れは確かに無常で、僕なんかの力で押しとどめておくことは到底できない。今日も、明日も、刻、一刻と無常は続く。よし。