こぼれ落ちた時の快感

来年のフルタ丸公演のことを考え続けている。9月くらいから、かなり具体的に考えていたアイデアがあったが、構築する段階に来て、なんか違うなぁ…と「なんか」を払拭できず振り出しに戻った。
そうやって14年間やってきたとは言え、物語の企画を振り出しに戻すことは勇気が要る。全てなかったことにしましょう、と。これが恋愛であれば「おいおいおい」となるんだろうけど、凹むのは僕だけだ。世界中で他の誰も困らない。だったら潔く戻るしかない。

というわけで、出口の見えない問答が始まった。今日の夕方、ずっと外観が気になっていた喫茶店に初めて入り、ノートを広げて数時間経ち、今日もダメだったか…と帰る間際になって、こぼれ落ちるように思い付いた。立ち上がり掛けて、座り直し、ノートにボールペンを走らせる。すぐに文具をしまい、店を出た。すっかり陽は暮れていた。すぐに電車に乗るのが惜しい。そんな気分さえあり、一駅分歩いた。もうずいぶん寒かった。歩きながら、ノートに書いたことを頭の中で何度も反芻した。