拝啓、シェイクスピア

明治大学シェイクスピアプロジェクト第12回公演「薔薇戦争」を観に母校へ。
秋と冬の間、今みたいな季節に御茶ノ水に来ると、やたら学生時代がフラッシュバックする。
こんな季節に、よくほっつき歩いていた。
店はいくつか変わってしまったけど、街に漂う雰囲気はあんまり変わってない。


夏にワークショップ講師という形で1日だけ稽古場にお邪魔した同プロジェクト。
この前、思い出してみたら、僕が大学生の頃にちょうど始まったのだ。
規模は、今なんかと比べて全然小さかったと思う。
そう言えば、ある日、当時のフルタ丸メンバーであったS模くんが


「じゅんくん、おれ、シェイクスピアプロジェクト出るわ」


と遠い目で宣言してきた。


「だから、うん、ごめん。フルタ丸、出られないかもしれない、うん」


ブルーハーツとカートコバーンしか好きじゃないはずのS模が、急にそんなことを言い出した。
彼の口からシェイクスピアという単語が出たことなんか一度もなかった。
絶対ウラに何かあるんだろうと思っていたら、
案の定、気になっている子が役者として関わるという情報を入手しての宣言だということがすぐに分かった。


そして「出るわ」と言って、出られるものではないことに彼はまだ気づいていなかった。
オーディションが開かれて、彼は落ちた。
動機が不純であったことを考えれば、当たり前だった。
S模の話はもういい。


つまり、学生時代、僕と同プロジェクトの接点は、それぐらいしかなかった。
去年、初めて観に来た。
そして、今年だ。
気付いたら、関わっていた。


学生の皆さんが挑んだ、「ヘンリー6世」「リチャード3世」を連続上演して3時間を越える演目。


最後に待っていたのは鳥肌だった。
リチャード3世を演じた女の子(むちゃくちゃ良かった)が、
カーテンコールの後、最後に舞台上からハケって行った一瞬。
あの一瞬に永遠を感じさせられ、永遠を一瞬に封じ込められたような気がした。


公演は日曜日までやっている。
が、チケットが残っているのかどうかはよく分からない。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~bunpro/
よければ、調べてみてください!