ぴょん吉郎とぴょん座衛門

いつからか娘にテキトーな物語を聞かせるようになった。
タイトルを「ぴょん吉郎とぴょん座衛門」という。
緑の公園に住む蛙の兄弟の話で、娘はこれをたいそう気に入り、リクエストしてくる。


ぴょん吉郎とぴょん座衛門してぇ」と言ってくる。


はっきり言って面倒だ。
でも、「そんなふうに言ってくれるのも今ぐらいだよ」という奥さんの言葉に、渋々重い腰を上げる。


こうして、なんとなく即興でデタラメな物語を作って話し始める。
娘が寝る前の5分とか10分。


娘はキャキャ言っている。


最近は、この蛙兄弟の物語も4D化しつつある。
登場人物に娘自身が出て来ないといけなくなった。


「…私、もうすぐ出てくる?」


良き塩梅で出さなくてはいけない。とんだ事務所のゴリ押しだ。
面倒な女優を掴まされてしまった。
出て来たら出て来たで、蛙兄弟と会話をしたがる。
ぴょん吉郎とぴょん座衛門のセリフに娘が返すという体験型の物語になっている。
ストーリーに合わせて飛び跳ね、無免許で車の運転をしたり、荒ぶったり。
場面はくるくると変わりながらも、物語は進行していく。
あれ?これ、どこかで知ってるなぁ……演劇じゃねぇか!!



どうして布団の上でまで演劇をやっているのか。


寝ます。