ハメる快感のお知らせ

劇団の事務所は、通常は僕の仕事場である。
籠って何かしらを書いていることが多い。
それが、劇団の公演が近づくと、突如としてアトリエになる。
すぐにモノが溢れかえってしまう。
溢れ出たもののほとんどがどうせ劇場に運ぶのだし、もうそれでいいやと思ってそのままにしてある。
そうこうしている内に、今日は「顔ハメ看板」を作る場所になっていた。
僕が仕事で出払っている内から、メンバーが作っていた。
事務所に戻ると電気が付いている。
笑い声がする。
清水さんと宮内くんが作っていた。
もうだいぶできていて、僕は僕で劇団の仕事をしつつ、二人が完成させるのを見守った。



こんなんである。
出来に関しては、もうフルタの表情を見れば一目瞭然でしょう。
この看板シリーズも3つ目だけど、レベルは確実に上がっている。
清水さんが才能を注ぎだしている。
顔ハメ看板の試みは、ほんの思い付きから始めたことだけど、やってよかった。
劇場という場所は、演劇と無縁な人には敷居が高く行きづらい。「劇場に行く自分」というイメージも沸かないと思う。チラシを手にした所で、行くまではやっぱり不安だ。僕だって、いきなり暗黒舞踏みたいなチラシをもらっても行くのを尻込みする。
自分との接点を感じられないものはなんだってそうだ。
だからこそ、この顔ハメ看板だ。
こいつだけはいつも呑気な感じで劇場の外に置いておきたい。
あなたに、これで遊んでほしい。
究極それだけで構わない。
とりあえず、劇場の外までは来てほしい。
顔ハメて遊んでほしい。
でも、たぶんそこに立てば、劇場の中から何か聞こえるかもしれない。
本番中なら、漏れて来る音とか声とか。
開場中なら、入っていくお客さんとか。
終演後なら、帰っていくお客さんとか、見送る役者とか。
劇場の外に立ち、そこから劇場の中をチラっと覗いてほしい。
「なんかやってんな」
「これ、何やってんだー?」
「おかあさん、ココなあに?」
そんなことをボソッとでも言ってくれたらうれしい。
大学生の頃、花園神社で唐組のテントを見たときの、テントの中が知りたい欲動もそんな感じだった。
顔ハメ看板、色んな劇団がやってくれないかなーとひそかに思っている。
まーやんないか。。やんないならフルタ丸がやればいいか。
とにかく、ハメてほしい。
5月25日から、下北沢小劇場「B1」の外に設置する予定。
ハメまくれ!


『僕は父のプロポーズの言葉を知らない』
http://dp02026338.lolipop.jp/24tokusetsu/24tokusetsu.html