稽古哲学

演劇の稽古は、やり過ぎると良くないという人がいる。
それ、僕は嘘だと思っている。
生っぽさがなくなるから?
役者が作品に飽きるから?
なんだっけか。
その説を唱える人は、何か言ってた。
もう忘れてしまった。
残念ながら、稽古場で出せなかったものは劇場では出せない。
もし仮に劇場で出たとしても、それを当てにするのはプロじゃない。
稽古はやればやるほど上手くなる。上手くなって困ることなど何もない。
上手くなって困る人は、上手くなるという意味をはき違えている。
本当の上手さがあれば、上手さを出さないように調節することも可能になる。
振り幅だ。
なんでもそう。
常に振り幅が出せる状態で劇場に入り、調整して(ここ大事)、本番に臨む。
そのために必要なのは、やはり稽古しかないと思う。
漫然と取り組む稽古じゃなく、考えて、考え続けてやる稽古。
で、「これが僕らの出した答えでした」というものを劇場に持って行きたい。
あとは覚悟。
そのへんの確信は、演劇人ではなく
中日ドラゴンズ落合監督から学んだ。
徹底する、何かを。
そこを拠り所に勝ちを手繰り寄せる。
蟻地獄のように。
そんな闘い。