匿名家族の最後

昔のフルタ丸は、金曜日から日曜日の3日間しか公演をやっていなかった。
計5ステージだ。
その頃は、とくに動員も気にしていなかったし、本当に何も考えていなかったと思う。
今は15ステージだ。その頃の3倍。
どっちが良かったのか。
あの頃はあれが正解だったし、今は15ステージが正解。
少しずつフルタ丸の規模が大きくなってきたことは嬉しいし、望んでいたことだ。
けど、薄まってはいけない。
15回もやっているってことじゃダメだ。
あの時の「3日間しかなかった」頃と同じ熱量、無論、それ以上の熱量で支配しないと。
なんか、そればかり考えている。
そこに対して、僕はどう振る舞えるのか、と。



「匿名家族」は残す所、4回だ。
土曜日と日曜日、それぞれ、2回ずつやってさらば。
もう、さらばだ。
演劇は忽然と終わるんだよ。時間でハッキリと切り取られる。


みんな、さようなら。
観てよ、最後を。
「匿名家族」の最後を見届けてほしい。
これには、色んなものを詰め込んだんだ。
届くことを祈っている。
言いきってしまうことが許されるならば、僕はあなたを救いたいんだ。