あのおっさんは僕だった

今日、藤沢から帰る小田急線で、
3人の男が近くに座っていた。
仕事帰りっぽい風体だった。


スーツを着た2人の若いサラリーマンと
作業服を着た少し年配のおっさん。


会話から3人が同じ会社で働いていることが分かった。
2人の若い男が、目の前にいる年配の男の悪口を言い始める。
明らかに聞こえるように言う。
年配のおっさんは、バカにされていることが分かっているが、
愛想笑いを止めない。
そもそも、あれは愛想笑いという名前で呼んでもいいのか分からない類の、
もうなんとも言えない相手のご機嫌を伺うような笑みだった。
甘んじて馬鹿にされ続けていた。


なんで、他人のおっさんのことなのに、
僕がこんなにも悔しい思いにならなきゃいけねぇんだっていうぐらい悔しかった。


なんだろう、この悔しさ。
おっさんは、これまでもそうやって生きて来たのかもしれない。
慣れているのかもしれない。
でも、悔しくないわけはないだろ?
おっさん。


そうだ。
忘れたフリをしているだけで、
僕もあんな笑い方をしたことがある。
死ぬほど悔しい思いをしながら、それでもヘラヘラしてる自分を選択したことがあるよ。
だからだ、だから悔しかったんだ。