見たのさ

駅前にファミリーマートがある。
俺の住んでいる千歳船橋の話だ。
この街に住んで4年目か?それぐらい経つわけだけど
このファミリーマートの深夜バイトに、やたら背が高く、やたら無愛想で、やたらひょろっとした男がいる。
ずっと認識していた。
別に喋るわけでもなく、勝手に認識していただけだ。
音楽とかやってんのかなぁ。
ふと思った。
ふと思い続けて4年が経った。
今日、仕事へ向かう途中だった。
僕の左側にやたら背の高い男が突っ立っていた。
ん?どこかで見たことがある。


あの男だった。


そして、彼の足もとにはギターがあった。
大事そうに足で挟んでいた。


嬉しかったなぁ。


当たっていたことが嬉しかったんじゃない。
分かるっしょ、この感じ。この感じだよ。
音楽やってた。
あのファミリーマートの深夜に消えていった汗が、全部ギターから流れていくのかと思った、思えた幸福感さ。
俺もがんばるわ。
と、勝手に面識もないのに誓ったのである。


さてさて、幕は上がるぜ。比喩だけど。