ユニフォームボーイ

下北沢を歩く一人の青年がいる。
僕は彼とは面識がない。
面識がないけど、彼のことを僕は一方的に知っている。
事務所から駅に向かう道に、彼は現れて駅へと一直線に向かう。
どうして彼に目を奪われるのか。


彼の服装にある。


毎回、野球チームのユニフォームとそれに合わせたチームの野球帽を私服として着ている。
ソフトバンクホークスの日もあれば、中日ドラゴンズの日もある。
メジャーリーグのとあるチームの日もあった。
彼の中で、どのチームを身に付けるのかは、
きっとその日の気分や天候と関係があるんだと思う。
とにかく、彼はユニフォームが私服なんだ。


彼はあの姿でどこへ向かっているのか。
そこまで突き止めたことはない。
会社か、バイトか。
あのユニフォーム姿が許される仕事はあまり想像できない。
けど、彼の足取りは確かだ。
大地を迷いなく一歩一歩踏みしめながら歩く。


あー完全に彼に負けてるわ、俺。


よく分からん理屈と論理で、今日の僕はドラゴンズの山本昌のユニフォームを持って事務所に来た。これから、これを着てフルタ丸会議に臨むのだ。