紳士になりたいんだ

紳士な人を見ると、紳士になりたいと思う。
しかし、僕の場合、その気持ちが長くは続いてくれない。
ここに来て、さっぱり紳士ではない人生を歩んできたなと振り返るが、
振り返ってばかりもいられないので、紳士ではない自分に嫌気と葛藤を抱えて生きている。


でも即席のインスタント紳士にはなれる。
その場限りの変身。


飲食店で、あの女の店員さんだけには紳士に思われようとたくらむ。
注文の仕方、食事マナー、水のおかわり、お金の支払い、この全てにおいて紳士を貫く。
でも、きつくなる。
水のおかわりぐらいからきつい。
もう化けの皮がはがれそうになる。
でも、必死にこらえる。
こらえてこらえて紳士ぶる。
そんな自分に気付く。


今のオレ、ぜんぜん紳士じゃねぇわ…。


でも、たぶん、今後も紳士になりたいと思う時が来る。
まだ諦めきれない。
いつか紳士になれると思っている自分がいるから。
紳士になった暁には不純なものに憧れるのだろうか。


あきらめてはダメさ、何事も。