病室から見えた景色

昨日の夜、東京に戻ってきた。


昨晩から事務所に泊まり込んで、次回公演の台本の直しをやっていて、ようやく終わった。今、プリントアウト中だ。今夜は下北沢で顔合わせがある。プリントアウトの部数も枚数も多い。間に合うのか?


僕には父方の祖父と母方の祖父がいる。
実家で一緒に暮らしていたのは、父方の祖父だった。
2人とも別々の病院に入院していて、両方に会いに行った。


その時の病室から見えた景色が、
どちらも似ていた。
燃えるような新緑と空。
それが目に焼き付いた。


意識があいまいな父方の祖父。
帰省していた3日間とも会いに行けたが、
祖父の体調が優れず、2日目しかまともに話すことはできなかった。


娘の足を触らせてみると、その足を握った。
祖父ができた、娘との唯一のコミュニケーション。


他に何もしてあげられない悔しさを感じた。


僕が美濃市を出て行った10年前から、
着実にすべてが10年分の年を取った。


今も尚、頭の中はグルグルしていて上手く整理が付かない。