まだ夢を語っている

下北沢の火鍋を出す店で
遅い晩飯を隼ちゃんと食う。


次回公演のチラシ打ち合わせをするために行ったが、
とりあえず薬膳鍋を夢中になって食べた。
「体に良いからな!」と説明されたよく分からない木の実がたくさん浮いたスープは、
絵本の中で魔女がこさえそうな色をしていた。


食いながら、ふと夢の話になった。


年を取れば取るほど、正面切って夢を語るのがダサくもある。
夢を叶えようと思っていた、夢が叶っているだろう年齢に現実が追いついてきているせいか。
それを焦るカッコ悪さってのもある。
あえて焦っていないフリをすることもできる。
が、一人きりになってボーっとそのことを考えていると悔しさしかないのである。


でも、これを悔しいと思えなくなる日が来たら、
そこで僕の夢は終わる。


夢をなくした男は大概クズだ。
おそらく僕もクズになってしまうと思う。
クズになりたくないのではない。
夢を叶えたいだけだ。