前進

いま、事務所にいるんだが、強風で部屋が揺れているような錯覚。
どうにも自然が怒っている気がする。


「ぷんぷん」


その昔、さとう珠緒はそんな呪文を唱えていたっけ。
ファンだったわけじゃないけど、当時は可愛く見えたな。


話を戻す。


事務所、真っ暗だ。
デスク脇の明かりを一つだけつけて、昭和の浪人生のような感じで机に向かっている。


今日は仕事の傍ら、7月のフルタ丸本公演について考えていた。
2月ぐらいから考え続けてきたが、大方、色々なことが固まってきた。
おもしろい作品になるのではないか。
まだまだ準備段階でありこれからだけど、そんな予感のみがザワザワと脳みそを駆け回っている。


年中、フルタ丸公演のことをぼんやりと考え続けている。
365日の内で「ハッ!」と天啓のごとく何かを思いつく日が数日ある。
ほんと数日だけ。
その他の日はたいしたことがない。
でも、その数日だけは
「今日は良かった。なんだか前に進めた」と安堵して眠ることができる。
それだけで全然違う。
そんな日が一日も訪れなくなったら、たぶん相当つらい。
演劇は僕にとって、健康と不健康の2つを押しつけてくるアンビバレントなシロモノだ。


だから、惹かれるんでしょうか。