観葉君

観葉植物の果てしなさについて語る時、ボンボンの息子が頭に浮かぶことを禁じ得ず。


暖かい部屋と定期的に供給される水。事務所にある観葉植物とて、その例外にあらず。


この2年半の内にどんどん大きくなってしまった。
もうすでに一年ぐらい前に、一度大きめの鉢への移植は終えていて、
僕の中では、それで大丈夫だろうと信じ込んでいた。
それが、どうにも年明けぐらいから、根っこがその鉢の下から出てきてしまい
鉢がまっすぐに立たなくなった。


いよいよ第2移植期の到来を感じつつも、気づかないフリをしていた。
そんな重すぎる腰を上げたのだ。


さらにでかい鉢を購入し、土も新たに買い足して準備万全のつもりだった。


しかし、根っこが鉢とドッキングしてしまい、全く鉢から植物を取り出せない。
困った。
このまま、この鉢で育てることも可能だが、近い未来、必ず枯れる。
僕は、手術を思った。
あ、人間の体が病魔に侵されたときの手術もこういった判断なのだ。
このまま手つかずで少し生きて死んでしまう選択もできるが、
手術に踏み切り、生き長らえる選択をするか。


僕は、工具箱からトンカチを取りだし、鉢を割った。
世田谷に響き渡るぐらい大きな音と共に、植物の救出に成功した。
大手術だった。


事務所で一人感動していた。
でも、誰もこの感動を分かち合える人がいなかった。


知らぬ間に、事務所内は土が飛び散り、大変な惨状になっていた。
プライベートライアン」のライアンのような心境だった。
僕と植物は生きて返ったのだ。


無事にでかい鉢に移植された。

もうこれ以上でかい鉢は、本当に大変なことになる。
どうか、このサイズでお願いしたい。


頼む、観葉君。


って、今、名前付けたのだがいかがなものか。