日々と雑文

村上春樹の雑文集っていう本を、ちょろちょろ読んでいる。
村上春樹が、何か賞を受賞したときに書いた挨拶文とかそんなのが載っていて、なんだかたまらない一冊だ。
ボクが日々書いているような、もう何を書いているのかも思い出せないような文章の数々、切れ端のような文章たちにも、
雑文というくくりがあるのかと思うと、なんとなく慰められるような気がする。


犬でいえば雑種か、草で言えば雑草か。
とにかく名前のない雑多なもの。


文章に対する責任感みたいなものは、年々よくわからなくなっている。
たしかに書いたことには責任をとるつもりはあるが、それを責任感という立派な意思で示すことはできそうにない。
どこかで書いたそばから、さようなら。という気持ちもある。
この日記だってそうだ。
日々にさようならをしながら書き捨てている。


今日のさようなら。
さっき、深夜の世田谷通りを自転車で帰って来た。
その途中、前方に明らかに蛇行を繰り返す自転車が走っていた。
コントのようなハンドルさばきで、
左右の色々なものに激突しながらかろうじて走っていた。
この人は本当に死ぬかもしれないと思い声を掛けた。
酔っ払いの女性だった。


「自転車、引いて歩いた方がいいですよ」


とあくまで親切心で言ったつもりだったが、


「私を家まで送ろうっていう魂胆ね」と言われた。


ボクはそんな目をしていたのか。
いや、暗くて顔もよく見えなかったはずだ。
ボクの雰囲気か、一体なんなんだ。


死なないで帰ったと思いたい。
さようなら。