今年のスピード

大問題が起きた。

ついに事務所の冷蔵庫にあるチョコの袋詰が底をついたのだ。

仕事を始める前に、仕事の合間に、仕事を終えたご褒美にこのチョコを食っていた。

だいたいいつも食っていた。

大家さんにもらったチョコだった。

事務所の大家さんはおじいさんとおばあさんだ。

二人暮らしっていうわけじゃなく、家族がいる。

孫もいる。実に幸せなそうな感じだ。

僕は、振り込み手数料を払いたくないので、自分でお金を納めにいくようにしている倹約家ボーイ。

訪れると、いつもなんかくれる。

チョコの袋詰めと紅茶のTパックをくれたのが先月のこと。

最近は牛乳を温めて、そこにTパックを入れて飲んでいる。

誰もいない2月の事務所で、身も心も温まる瞬間だったりする。

そろそろ行かないとな。

今月は何をくれるんだろう。

期待はふくらむ。

ダメだけど、ふくらむ。

遺産とかくれるっていう話になったらどうしよう。

ゼロパーセントとは言い切れない、親密さを感じる。

まずないだろうけど、一応、その心づもりだけはしておこう。

っていうか、毎月毎月、家賃の振り込みが遅れている。

ごめんよ大家さん、という気持ちはある。

お金を納めにいくと、1カ月がもう過ぎたんだなと気付く。

なんか早くないか、今年のスピード。

月日の流れに負けず、いろいろ楽しみたい。

がんばる。

それしかない。

もういっかい決意を固める。

がんばる。

ええ、がんばる。