悲しいことだらけ

事務所での部屋着は、
下が黄緑色のジャージで、上が真ピンクのフリースである。
「ただの目立ちたがり屋」もしくは「アホ」のような格好。
そのまま下北沢を歩くことがしばしばある。
どう思われているのか、不安になることがある。
今日は女子高生達とすれ違う時に思った。
すれちがい様に「なに、あの人…」みたいに言われないかと不安になったのだ。
結果、女子高生達は僕に一切の興味を持たずにすれ違って行った。
それはそれで悲しいとも思った。
悲しいことは何かしらある。
多かれ少なかれ、何かが悲しくなる時がある。
「悲しいときー」とファイティングポーズを取りながら叫ぶ芸人さんがいた。
名前を思い出すのに時間が掛った。
それさえも悲しいと思った。


ずっと読んで来た長編小説があったが、後半に行くに従いおもしろくなくなり、かなり飛ばし読みして最後の項だけ読んだ。
それでも意味が分かった。
これも悲しいことだった。


まだある。
さっき娘をあやすために「桃太郎」の話を物語口調で聞かせた。
桃が割れて桃太郎が生まれてくる所までなんとなく聞いているそぶりだったが、
生まれた途端に「プイ!」と反対方向を向いてしまった。
桃太郎が生まれて終わった。なんて平和な結末だ。
悲しかった。