大学時代のツレ達

地元での浪人生活に別れを告げて岐阜の美濃市を出る時、中学時代の友人の林君に会った。
家の近くの大型スーパーだった。
「久しぶりだな」なんて話をしながら、2人でモスバーガーに入った。
僕は春から東京に行くんだみたいなことを話した。
話している内に中学時代の関係性を思い出し、だんだん気分が高揚して来た時だ。
林君が僕にこう言った。


「俺の友だちは結局、高校時代の友だちが最後になっていくんだと思う。淳だって、たぶんそうなるよ。大学に行くんなら大学の友だちが最終的な友達になるんだ。」


その発言は、その時の僕の気分をざっくりと削いだ。
なんでそんなことを言うんかなと思った。僕は林くんと中学時代の頃を思い出して楽しくなってきた矢先だったのに。
なんだよ、僕と君は友達ではなくなっていくのか。そんな悲観の仕方があるかよ。


でも、その言葉はずっと僕の中にあった。
そんなわけはないだろうと思いながら大学生活を過ごした。たまに帰省すれば地元の友達とも遊んだし同窓会にも出席した。
そんなわけはないと思えば思う程、結局そんなわけだったことに気付き始めた。
25歳の時だった。


社会に出て出来た友人っぽい人達はたくさんいる。
けど、その友人っぽい人達と友人は明らかに違った。
林君が言っていたことの意味が分かった。
悔しかったが、抗えない事実を飲み込んだ。
自分が大人になったとは言わない。
言わないが、友達とは何だろうかと考えた。


今日は久しぶりにそんなことを思い出した。


夜、歌舞伎町にあるライブハウスで大槻くんのバンド「PALESS」のライブを観た。
ひさしぶりに『月ロケット』を歌う大槻君を見て懐かしくなった。
大学を卒業したばかりの頃、彼からもらった最初のデモCDに入っていた曲かもしれない。
良い笑顔でステージに立っていたなぁ。


家にかえろうと思い、歌舞伎町を歩いていると、電話が掛ってくる。
同じく大学時代のクラスメイト近藤。ラグビー部の馬鹿である。
彼女と飲んでいるらしい。
話を聞けば、僕がかつて書いたブログに近藤の名前があり、彼女はそれを見つけ、僕の日記から近藤の生態を探ろうとしているということだった。
その確認めいた電話だったわけだが、その女性が酔っていることが分かった。
どうやら新宿西口で飲んでいるとのことで、外で会ってきた。

近藤には借りたままのAVがあり、そのAVは先日まで毎日会っていた客演の大竹さんに又貸ししてあることを詫びた。
近藤は焦り、僕の手首を力任せにひねろうとしてきた。
相変わらずの馬鹿で良かった。お幸せに。