青いスピーカーと夜景と梅酒

サガミくんという友人が置いていったのかくれたのか分からない青いスピーカーを僕は持っている。
そいつと梅酒とi-podをカバンに詰め込み、影山くんの家に行った。
彼が東北沢に引っ越してきたことは知っていたが、下北沢の事務所からチャリでわずか5分。
ずいぶん近い。
大学生のころ、僕は八幡山に住み、彼は幡ヶ谷に住んでいた。
当時ですら、チャリで25分ぐらいは掛った。
それが近付いた。
年々、下北沢の事務所から友人の家までの距離が近まりつつある。
隼ちゃん家までも10分以内で行ける。
俄然おもしろくなってきた。


で、
影山くんの家は9階にあるということで、ベランダから夜景が見渡せた。
世田谷から新宿まで全てが豪快に見える。
i-podを再生し、青いスピーカーが音を発し始める。サガミの呻きのようにも聞こえるが、それは気のせいだ。
そして、かつてフルタ丸の公演でどなたかから頂いた梅酒を飲みながらそれを眺めた。


今年は20代最後の年だ。
ふとそれを思い、最後ということは20代の締めの年でもあることに気付いた。
東京に出てきていろんなことがあった。
それは全部20代で経験したことだ。
僕の20代は全部東京が持っている。
僕も20代という10年分の東京を持っている。
そんな10年単位の自分について考えたくなるような夜景だった。
影山くんと「今度はここでフルタ丸の鍋をやろう」「みんなで桃鉄やろう」と約束。
ここで、新旧問わずフルタ丸の面々と鍋と桃鉄をやったら楽しいだろうなと思う。
僕の20代の答えは、そんな鍋と桃鉄にありそうな気がした。


20代はいつか終わる。
みんなも変わるし、僕も変わる。
無常といえば無常。


センチメンタリズムとノスタルジック。