猫歌う賛美歌

毎朝歩くジョンの散歩コースがある。
名前は忘れたが大きな公園だ。
その公園の端っこまで行ってリターンしてくることにしている。
公園を通過中に砂場で遊ぶちびっ子たちがジョンに過剰反応することがある。
ジョンだって過剰反応で返す。
まあ、そんな散歩はよくあるのだ。
今日は2人組の女の子が、ジョンを見て「わー柴犬だー!」と反応した。
すると、突然、一人の子が「柴犬って便利だよねー」と言った。
「……便利?!」
女の子の真意が飲み込めなかった。
犬を便利かどうかという視点で判断するには「番犬」「犬ぞり」「バター犬」。
僕はその3つしか知らない。
真意が3つ目でないことを祈るばかりだ。
女の子よ、幸あれ。



最近は色んな準備にいそしんでいる。
書いている。とにかく書くことだ。毎日書く。その連続でしかない。書いては立ち去り、立ち去っては書いたものだけが残る。もう次へ行く。上手く言えないが「その感覚」を僕は身に付けたいと思っている。



実は明日バイトの面接がある。
とある事情から杉並区でバイトをしなければならなくなったのだ。
大丈夫なのか。
ちゃんと働けるだろうか。
いや、そもそも合格するだろうか。
僕は学生時代からバイトの面接がからっきしダメなのだ。
WBCが始まる直前、イチローがこんなことを言っていた。
「奪いに行く」
「連覇したい」ではダメだと。挑戦者として奪いに行くという気持ち。
それを言っていた。
今の自分はどうなんだ。
「バイトの面接に受かりたい」
そんな生半可な気持ちでは絶対に受からないような気がする。
イチローが言うところの「連覇したい」程度の意気込みではないのか。
「奪いに行く」
バイトを奪いに行く。
今、僕は心からそう思っている。