古田と吉田の化かしあい

まずは、これを見てほしい。

昨日、舞台セットで使う一部を某リサイクルショップで購入したのだが、その受け渡し日が今日になっていた。それが稽古場に来たわけだが、早速これである。売約済みの名札。


「吉田」


これはもう「古田」と「吉田」の永遠の化かしあい。いや、「古田」が一方的に「吉田」に間違って書かれることが多い。僕の家に届く郵便物も、しょちゅう「吉田」になっている。全国の「古田代表」として言わせてもらう、はなはだ憤慨だ。


しかし、今回は少し事情が違う。
これを見てほしい。

売約済みの裏に自分の名前をメモった際、横の線を書き直したため2重に見えた可能性が高いのだ。
確かに「吉田」に見えぬこともない。しかし…。どっちかって言ったら、「古田」にしか見えない。


中学時代に一度、家庭科の先生に「よしだあつし」くんと呼ばれたことがあった。
むろん、僕の名前は「ふるたじゅん」だ。
「淳」は「あつし」とも読める。
しかし、さすがに、これには返事が出来なかった。
そこに、もはや僕はいないからである。


一枚目の紙に戻ってほしい。
リサイクルショップの担当者の名前が「あつし」になっている。
誰にも祝福されない小さな奇跡が起きた。


そこには、12年ぶりの「よしだあつし」がいた。
彼は僕が知らないところで生きていたのかもしれない。
仲良くなれるような気がした。


よしだあつし、これからもよろしくな。