無礼講 into the Roomとは何だったのか

という、たいそうなタイトルで書き始める。

明け方、4時半に打ち上げがお開きとなった。一本締めをして、一人で劇団の事務所に戻った。舞台で使った荷物を雑に運び込んでいるせいで、散乱しているのを横目にデスクの椅子に座る。なんとなく目を閉じただけだったが…気付くとそのまま2時間経っていた。タイムリープしたのかと思った。いずれにせよ、全く同じ体勢で2時間も経っていたことにしばらく呆然。いつもこんな朝のような気がする。舞台の幕が下りて、打ち上げから帰った朝はなんとも言えない。このなんとも言えなさには賞味期限がある。今、まだなんとも言えない朝のうちに、書いておこう。

今回の座組の顔合わせは12月27日だった。ド年末、クソ寒い中、稽古場に集まった面々。誰も何も話さない。この顔見知りのエキスパートたちが集結した緊張感。演劇始めて15年だが味わったことがなかった。正直、大丈夫なのか…と心配になった。僕は僕で緊張していた。台本は1ページどころか、1文字も書いていなかったからだ。もちろん世界観も構想も配役も固まっていたし、組み立てに手を入れてあとは書くだけだった。しかし、全く書いてないまま役者の皆さんに堂々と会わなければいけない、これはなかなかに、なかなかだ。

あれから、およそ1カ月。今、舞台はすっかり終わってしまった。僕はいつの間に台本を書き、役者はいつの間にセリフを憶えたのか。駆け抜けるように終わった。

このあまりにも限られた期間で、人見知りだらけだった座組は味わい深い集団になった。なんとなく「劇団」に近いような空気までに仕上がっていた。メンバーがお互いの特性を理解し合い、それを全員が互いに把握しているような状況だ。とにかく、息が合う。良い座組だった理由は他にもあるだろうけど、今回の味わい深さは際立っていた。

そんな座組に作品とキャラクターを愛してもらえたことも大きかった。公演としても興行としても推進力となった。出演者の皆さん、本当にありがとうございました。

今回、タイムリープものを作ろうと思った時、なぜか真っ先に浮かんだのが高速道路のジャンクションでした。昔から好きだったが、改めて調べてみると日本には良いジャンクションがいっぱいある。今回の物語の舞台となるマンションの一室から見えるジャンクションの選定に入った。僕の中ではコレだった。

このジャンクションを見ながら、色々なことを考えていった。真夜中、四方八方からやってきた車が交差し、進路を変えて進んでいく。今回書きたかったのは、あの中心地の物語。


最後に、ご来場下った皆さま、公演を支えて下さったスタッフの皆さまありがとうございました。ツイッターとか、いろいろ、感想を書いて下さった方々にも感謝。全部読みました。

アフターイベントで、ひらフルの次が発表されましたが、今年の9月。年内に2本目って、どうかしてる。


ひらフル Extra edition
『ひとりごとターミナル2017年版』
9月某日


フルタ丸で再演を繰り返した人気作『ひとりごとターミナル』を、今回は番外公演として、ひらフル版の改訂をしてお届けしたいと思っています。どんなものになるのか、僕にもまだ分からないけれど、とにかく素敵なことにしたい。ご期待下さい。


というわけで、これにて完結。