ナメていた台風

台風の中、娘を保育園へ送り届け、その足で下北沢の事務所まで移動した。外を歩きながら、久しぶりに心がくじけそうになった。大人なので立ち止まって泣き出すようなことはなかったが、朝からだいぶダメージを受けた。

事務所にはハーフパンツが2枚常備してあり、Tシャツの替えが乱雑に置いてある。着くや否や、すぐに着替えた。午後の打ち合わせまでの間にずぶ濡れになったハーフパンツを乾かそうと、ドライヤーで熱風を送りまくる。そんなことにずいぶん時間を取られてしまい、自分は何をしているんだろう…という虚無感でいっぱいに。

読了した『マチネの終わりに』(平野啓一郎)がとてつもなく良かった。二十代の頃は、こういう読書体験がもっとあったような気がした。三十代になって、明らかに心が鈍く硬くなってる。でも、それさえも打ち砕かれた気分。こういうのを傑作と言うんだろうなという感慨だけで、ごはん3杯食える。