花の格闘技

お誘い頂き、「花いけバトル」を観に大田市場へ。
こんな理由でもない限り絶対に来る機会がない花を扱う市場。むちゃくちゃ広い。もうひと気が少ない時間帯。

花が色んな所に流通している限り市場はあって当たり前だけど、そんなことを想像すらできていなかったことに気づいた。色んな花がどんどんトラックに乗せられて出て行った。

会場はふだん花のセリを行う場所で400人くらい入れる会場がパンパン。

これは使うことがなかったけど、全ての席に付いてた。これでセリをやってんだな、むかしのゲーム機みたい。

肝心の花いけバトル。
今回は6人によるトーナメント方式。
花を活ける陶器が毎回変わり、制限時間5分の中で即興で花を活けて行く。
ジャッジする権利がお客さん全員に与えられていて、良かった方の札を上げる。その集計によって決するという完全なる民主主義だ。
上手に美しく活けることだけが正解ではなく、事前のプランも通用せず、その場その場で華道家たちがフル稼働して活けていく。その挙句、失敗もする。時間が足りなくて活けきれなかったり、最終的に器に入らなくて作品そのものが成立しないこともあった。約束されていないゴールを目指している証。でも、その挑戦とか心意気までもを見ながら楽しむ。「あいつ、攻めたなぁ」というオモロさ。誰にでも分かるシンプルさ、かつ短時間で勝負が決するという間口の広さにヤラれた。花いけバトルは始まって3年くらい経っているそうで、今や全国の自治体でも呼ばれてバトルが行われてるみたい。


花を活けることも、角度を変えればエンターテイメントになり、ドラマが生まれる。僕の座っていた席の近くに、おそらく出場者の男性の奥さんと子供が座っていた。まだ小さい子供がしきりに「お父さん、がんばれ!」と言っていた。その声がお父さんの耳に届き、さりげなく手を挙げて息子に答えた。ヒーローは、毎日どこかで生まれているというやつは、本当だったんだな。