弟の結婚式前夜

明日、弟が結婚式を挙げる。
僕には弟しか兄弟がいない。
ということは、こんな機会も一生に一度だろう。
式が終わってから書くのもアレだし、今の内に書いてしまう。


弟とは2歳離れている。
年の近い兄弟をライバル視することもなく
いわゆるフツーの感じでここまでやってきた。
弟と一緒に暮らしていたのは、15年くらい前の上京前までだ。
だから、その後のことはよくわからない。
弟も東京に上京してきて、お互い東京にいるのに
2人で予定を合わせて会ったりしたことがない。
そのくせ、偶然バッタリと会ったことが2回くらいある。
よその兄弟はどうなんだろ?
この距離感っていうのは、フツーなのか、会わなさすぎるのか。
姉妹でもなく、兄と妹でもなく、男の兄弟というやつはどうなんだろう。
ま、いいや。
それでも、たまに会う時が訪れる。
僕に娘が生まれた時とか、弟が入院した時とか。
帰省したタイミングが同じであれば、実家のリビングで話す。
たわいもないことをダラダラと。
3年前、祖父が亡くなった時もそうだった。
実家から訃報をもらい、弟と連絡を取った。
もしかしたら、初めて予定をあわせて会った瞬間かもしれなかった。
弟と二人で車に乗り、夜の東名高速を岐阜へと帰った。
あの時のことは、よく憶えている。
目の前には真っ暗な道が延々と続いていて、
二人とも亡くなった祖父のことを考えながら黙っていた。
どちらからともなく子供の頃の話を始めた。
ミニ四駆とか、そんな話。
それは祖父が亡くなったことから顔をそむけたいわけではなく、
子供の頃の記憶のそばにはいつも祖父がいたな、ということがお互いに分かっていたから話しているような所があった。
上手く言えないが、この時、僕は弟がいて良かったと思った。


弟が結婚する。


親が泣く可能性はあるだろうが、僕が泣くことはまずない。
それよりも、ケーキのファーストバイトの時に、娘が大きなスプーンを運んでいくという大役があり、それがちゃんとできるかどうかが心配。