解散していたかもしれない十二月

あれから二年。


二年前の12月、フルタ丸を解散しようとしてた。
主な原因は、メンバー内の衝突。
それは、人間性によるぶつかり合いではなく
最初は作品性によるぶつかり合いだったはずが、
最終的には人間性のぶつかり合いになってしまった気がする。
同じ方向を見て、一つのものを創るってのは、やっぱ難しいな。
そんなありきたりで短絡的なことを思った。


「解散かぁ」


と思って、深夜。
ロイヤルホーストを出て2時だった。
なんとなく家に帰れなくて、
近所の公園へ行った。
ちょうど一日前に、日本武道館毛皮のマリーズというロックバンドの解散ライブを見たばかりだった。
クソみたいなシンクロニシティに、ため息が出た。


「明日から、どうすんだろう」


ボンヤリ考えながら、月末に迫っている『12月26日』っていう作品だけはやり遂げないとなぁ。
そんなことを考えていたはずだ。
12月だし外は寒いはずだったのに、なぜか全く寒さを感じず、冷え切った公園遊具にまたがっていた。
家に帰っても一睡もできずに朝が来た。あの朝だけは、今思い返しても本当に最低の朝で、マインドがほとんど腐りかけていた。


フルタ丸は今も続いている。
止めてくれたメンバーがいて、解散を踏みとどまった。踏みとどまれた。
感謝している、とても。


なんで今更、こんなことを書いてんのかと言えば、
同世代の劇団とかバンドが、解散したりメンバー脱退とかあって、
それが全く他人事に思えなかったから。
世の中に数多ある集団が、ギリギリの線を歩いていると思う。
右に落ちればセーフであり、左に落ちればアウト。そんな細い線の上にいる。
フルタ丸は、あの12月、右に落ちただけなのかもしれない。


劇団活動っていうのは、一つの奇跡だ。
こんなことが続くなんてことは、むしろ、異常な状態なんだ。
僕は本当にそう思っている。それと同時に、メンバーとスタッフにはすごく感謝している。
芸術性とかどうでもいい。感謝しかない。そこからしか始まらない。
それを見失いそうになったら、誰かぶん殴ってくれ、僕を。


今は、銀杏BOYZの新譜が楽しみだ。