たいしたことじゃない

演劇やって、原稿書いて、ラジオ喋って、だいたいそんなことの繰り返しの中で生きている。
大学生のころから僕の生活は、おおむねそんな感じだ。
それを今夜も切々と感じながら小田急線に揺られていた。
22時8分発の藤沢を出る快速急行
一人の時はよく眠ってしまう。
人がまばらな車内は、いつもどこかさびしい。


俳優の山本太郎さんが、反原発発言でドラマ降板して事務所を辞めたあとに
「一俳優の終わり云々は、たいしたことじゃない」と言っていました。


人は芸能人を見て、テレビに出られていいなー金いっぱいもらってるんだろうなー
って俗っぽく羨むかもしれないけど、そんなものは幻想だ。
本人は有頂天になれない。つらいことがあれば、人並みにつらく、自殺だってしてしまう芸能人もいる。
結局、人生は数値化できない。人生を測る尺度は何もない。


「たいしたことじゃない」


この言葉が持つ力強さは、万事に通ずる。
たいしたことっていうのは、人命にかかわることだと思う。
人命に関係のないことは、だいたいどうでもないことだ。
一過性の何かだ。うん、たいしたことじゃない。
応援している野球チームが負けるのもたいしたことじゃない。
片想いが破れようが、それもたいしたことじゃない。
だいたいがたいしたことじゃない。
そう思うと、だいぶ楽だ。


楽してばかりはいられないが、楽になってみると案外良い。