こんなところで、オダルフィ

サウナにいた。
汗をかいた男たちが一つの画面を見つめている。
放送されていたのは、


外交官・黒田康作


だ。
明らかにサウナで見るべきテレビ番組じゃない。
もっとバラエティとか情報番組とかニュースとかあるだろうに。
オダルフィだった。


このドラマの初回を見て以降、
全く見ていなかったので、内容はぜんぜん分からない。


とにかく、目の前の画面では、


香川照之が号泣しながら平泉成銃口を突き付けている。


もちろん意味はぜんぜん分からない。
香川さんが濃い演技をしているのには何か理由があったのだろうと思うし、
平泉成さんがとぼけた演技をやめないのも何かあるはずなんだがわからない。


サウナの中に10数人いた男たちの中で、
このドラマを初回からちゃんと見て来た人なんて一人もいなさそうだった。
というか、ちゃんと見ているやつは、こんな所で見たりしないだろう。


みんな明らかに「?」になりながらも、
汗をかきながらも、
自分と闘いながらも、
オダルフィを見ていた。


「シュール」という言葉がある。
時として、人にその言葉の意味を上手く伝えられなくて困ることがある。
でも、今後はこう言えるかもしれない。


「サウナで10数人のチンポコを出した男たちが、
 汗をかきながら、
 自分と闘いながら、
 号泣する香川照之がとぼける平泉成銃口を突き付けているドラマを見ること」