フの帽子みつかる

かなり遅めの昼飯を下北沢の松屋で食ったわけですが、
テーブルに座ってもそもそ食っていると、
僕より年下で若そうな男4人組が来店した。


「何を食おうかなー」


なんて呑気に悩んでいるやつは一人もいない。
下北沢という危険なマチで「迷う」という行為は死を意味するからだ。
後ろからドンパチいかれるから。
みんな、スロットの早押しみたいなスピードで食券のボタンを押す。
カウンター席にずらっと座り、店員に券を渡す。


店員が言う。


「牛丼4つです」


はい来た。
牛丼の4カード。


嬉しかった。
美味く説明はできないが、ここが下北沢の学食のように思えたからか。
周りを見渡すと、みんな牛丼を食っている。
ここには格差がない。みんな、文字通り同じ釜の飯を食っているという連帯感があった。
ドンパチあるかもしれないけど、平等を感じた。
今日は牛丼が240円という、「最悪これは牛じゃねぇかもしれない。牛じゃなくても文句は言えない」という猜疑心も芽生えそうな値段になっていたこともある。
当然、僕も牛丼を食っていた。食らっていた。
腹をすかせているから。


そういえば、押し入れからこんなもんが見つかったよ。

帽子の額に「フ」って書いてあるね。
不思議だね、なんだろうね、このヘンな帽子は。
そうだよ、フルタ丸の帽子だよ。


第5回公演で作ったんだ。非売品。劇中に使ったんだっけか。
それがなぜか家の押し入れから出て来た。3つも。1つはタグまで付いている始末。
これ、どうしよう。
ほしい人いるのかな……いねぇだろうなぁ。
70歳ぐらいになって、これを被って舞台に立ってたら誰か俺を笑ってくれるかな。