十代の功罪

「10代でまともな青春時代を過ごしてないから、一生そのまんまなんだな、僕は」


と思うことがありました。
仕事が早めに終わったので藤沢に早めに向かおうと思った。
ラジオがある日は藤沢に入る時間で、その日の時間の使い方がだいたい決まる。
早く入るっていうことは向こうの喫茶店で台本を書いたりするってことだ。
むー。
台本のことや色んなことで頭ん中がこんがりながら、夕方4時の小田急線に乗っていた。


僕の目の前に立つ可愛らしい女子高生。
セーラー服がまぶしいな。
そんなことを思っていたら、その女子高生がフルタ丸をよく観に来て下さる知人の娘さんであることが頭の中をよぎった。
劇場でも何回もお会いして挨拶している。
でも、髪型の雰囲気が以前会った時と変わっているように感じどうにも確信が持てなかった。
9割ぐらいきっとそうだと思う反面、激似であるが声を掛けてもしも違っていたら、俺はどうなってしまうんだろうという恐怖。


苛まれていた。


苛まれたまま声を掛けられず、その子は来るべき駅で降りて行ってしまった。
僕はすぐにその知人の方にメールした。
巡り巡って返信されたメールには、やはりその方の娘さんだったことが書かれてあった。


ビーン


そんな効果音も出るよ、そりゃ。凹んだねぇ、僕は。
久しぶりにこんな凹んだかもしれない。
声を掛けられなかった自分が情けなくてしょうがないと思った。
臆してしまったんだ。
可愛らしい女子高生だったから。
こんなおっさんが話しかけて、違ったらどんなことになってしまうんだろうという臆病さに僕は打ち負かされてしまった。


「いつも観に来てくれてありがとう!」と言いたかっただけなんだ。


藤沢に着いても放心状態で

フラフラと初めて入る儚い喫茶店で時を過ごした。
僕の心が灯だった。


何がいけなかったんだろうと自己分析。
すればするほど、僕は最初の1文に尽きると思ったのです。
十代、とりわけ高校時代に満足な青春を過ごせなかったから免疫がないのだ。
別に結婚したからってクリアになる問題でもなかったのだ。
僕はずっと、もはや永遠こんな奴なのだ。
絶望。
ええ、ぜつぼうですよ。


灯のママ(店主)が優しくて、ココアを飲んだ僕に日本茶を出してくれた。
「粗茶ですけど」
だってさ。


救われたなぁ。