夢をあきらめないで

仕事の帰り、新宿駅に向かって歩いていた。

ビルとビルの隙間からドコモタワーが見えた。
夜の空に突き刺さるように建っているようにも見えたし、まさにこれから飛び立たんとするロケットにも見えた。
良い眺めであった。
なんとなくそのタワーを眺めながら新宿駅に向かった。
胸の内はザワザワしていた。
早く駅に着きたいような、まだまだ歩いていたいような。
考え事がある時は、よくそうなる。
立ち止まって考えていたら気が狂ってしまう所を、歩きながらにすることでなんとか保っているような感じか。
ま、いつものごとく考え事の結論なんて出やしない。
小田急線のイチバン速いやつ(快速急行)に乗って下北沢で降りる。

事務所に向かう途中のCDショップで
銀杏BOYZのニューシングル『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を買う。

CDラジカセにCDをぶち込んで再生。
3曲目に『夢をあきらめないで』のカヴァーが入っていた。
安っぽいカラオケみたいなオケをバックに、力んだ声の力強さが合っていなかった。
が、その合っていない感じに、もはや全然関係ない感じに事務所で一人嬉しくなった。


「夢をあきらめないで」


って言う人はすでに夢を叶えた人だろうか。その余裕から「夢をあきらめないで」って言えるのか。
もしくは、夢を叶えられずに誰かに託そうとした人だろうか。その後悔から「夢をあきらめないで」って言うのか。
そうでもなく、まさに夢を追っている人かもしれない。自分も追っているんだから、お前も「夢をあきらめないで」って言いたくなるのかもしれない。


冬。


この冬に色んなもんを掛けるつもりでやんなきゃダメだ。
ダメな気がする。
不退転。