表参道で夜を迎えていた日々

大学を卒業した僕は就職をせずにフルタ丸を続けた。
それは美談でもなんでもない。
就職に関する知識さえも僕は持ち合わせておらず、実にスルっとアルバイトの生活を選んだだけだ。
その年の秋から、ラジオ構成の仕事をもらえる機会に恵まれたが、その時はもちろん分からない。
フリーター1年目のGWを表参道のバイト先で迎えていたことをはっきりと覚えている。
キレイな建物の中で、部屋を貸す受付っていうのか、そんな仕事だった。
窓からの景色は、確かピンク色の花がダーーーっと横に咲いていた。
そんな部屋で、僕はスーパーマリオみたいなおじさんと二人、「暇っすねー、GWっすもんねー」なんて言いながら、ネットサーフィンばかりしていた。
結局、そのバイト先でフルタ丸の音響の水野や衣装の清水さんとも出会うことになる。
分からないものだ。出会いはホントに分からない。
毎日ネットサーフィンする時間がありすぎて、有名でもなんでもない普通の女子大生のブログを毎日読み続け、彼女が失恋した時は僕まで悲しくなったりした。当時、僕は書く方ではなく読む方のブログ王だった。
だいたいそのバイトは21時に終わった。
ちょうどその頃、銀杏BOYZが全国ツアーに出ていて、ボーカル峯田のブログを読むことが、その日を締めくくる楽しみだった。その更新が20時半とかにされるもんだから、帰る支度を急ぎながらブログも読んでたっけ。
帰りに狛江のOXによって、半額になった惣菜を買って帰った。
一人遅い晩飯を食って、なんだかむなしくて、でもいつの間にか寝ていて。
そんな日々。
穏やかだったような気がする。
でも焦っていた。
確実に。
今はもっと焦っている。
確実に。
もうすぐ4時だ。
こんな時間になると、明日何があるとかそんなこと一切合財忘れて、穏やかに朝日を待ちたいと思うことだってある。
うん、あるんだよ。