幻想的な世田谷通り

事務所の賃料は、毎月大家さんに手渡しで払っている。

その金を握り締めて、今夜も払いに行った。

大家さんはおじいさんで、いつも親切にしてくれる。

ただでさえ「破格」だと思っていた賃料が、4月から1000円安くなることになった。

高くなるということは聞いたことがあるが、まさか安くなるとは…。

おじいさん曰く、「今日の世界的な経済危機の中で自分ができることは何か」を考え詰めた結論だと言う。

おじいさんは何の根拠か分からぬが「君は才能がある」と言う。

僕が創ったやつなんて一つも見たことないのに、そんなことを無責任に言う。

なんなんだ、いったい。

けど、毎月なんだかんで元気をもらっているような気がする。

じじい、ありがとう!



夜、雨は雪に変わった。

そんな中を原付で帰った。

ヘルメットのゴーグルを装着して「おースキーみたいだぜー」と思っていたら、あっという間にゴーグルが曇った。

曇ったゴーグル越しの世田谷通りの走行はかなりデンジャラス。

車も見えない。

見えるのは、ヘッドライト・信号機・店の明かりが、ぼんやりとふやけた光の集合体だけ。

これが、むちゃくちゃ幻想的でたまらなくキレイだった。

完全な異世界を楽しんだ。



それにしてもWBC楽しみだ。
スポーツニュースを見るたびに胸高鳴る。
野球が好きで良かった。