涙の先に

中学時代に合唱した『涙をこえて』。
先日、なんかのタイミングで偶然聴いた。

「なーみだをーこえてーゆーこーおー」

一気にノスタルジックな気分になった。
中学校の音楽室の匂いとか3年2組の教室から見えた放課後とか、そんなものが一気にフラッシュバックした。


僕が演劇をフルタ丸をやっている理由の一つに「いかに中学時代のマインドに戻れるか」がある。
あの頃に感じていた世界の見え方、友人とのくだらない会話の連鎖、先の見えない日々。
あれがどうしようもなく好きだった。大学時代、あれを追体験する方法を探っていたら、演劇というタイムマシーン装置と出会った。


『ガイライ魚』を演じていても、たまに見えることがある。
中学時代に見ていた風景。学校に向かう道だったり、給食の時間の校内放送だったり、雪の降る曇天を。
わけもなくそんな景色が見えてくる。


今夜の稽古を終えた途端に緊張が始まった。
いつもより少し早い。
『ガイライ魚』以外のことは何にも考えられなくなってきた。
タイムマシーンを完成させたい。
お客さんを乗せたい。
連れていきたい。