再会は突然に

娘を病院へ連れて行った。
世田谷区にあるでかい病院に。
奥さんがオムツを代えるために娘を連れてトイレへ立った時だった。
僕は所在無げに、ぼーっと突っ立って廊下の壁に寄り掛かっていた。
やるべきことが溜まっているなーなんてことを考えていたのかもしれない。


すると、


視界に一人の女性が入った。
その女性は赤ん坊を抱えていた。


だんだん近づいてくる。


相手も僕の顔を見て、おそらく同じタイミングでお互いに気付いた。


Yちゃんだった。演劇を通じて知り合った友人。

大学3年生の頃に行った演劇のワークショップで知り合った。そのワークショップには川瀬さんやタナカソウや小出真保がいて、Yちゃんもそこにいた。(タナカ世代)
それ以来の付き合いと言えば付き合いだが、最近はめっきり連絡を取っていなかったもんだから驚いた。


だって、赤ん坊を抱えていたから。


再会は突然やってくる。


興奮して立ち話。
Yちゃんの娘は1歳3カ月になるという。うちの娘のちょうど1歳年上になる。
僕が驚いたように、Yちゃんにも驚かれた。
そりゃそうかもしれない。
時は流れている。
生き物は増える。
色々と嬉しかった。


「まだ演劇やってる?」


そんな話をした。
演劇ってそうゆうものなんだなと改めて思った。
だってゴールはないから。状態だもの。劇団も生き物だもの。
生きてるか死んでいるかだもの。


「まだやってるよ」


と、僕は答えた。